◆9月16日 9時のエピソード/Aルート――――

その停止映像の中には、
3人の子供たちが映っていた。
眼鏡をかけた少年と、金髪の少女。
もう1人は――顔は見えないが、
こちらも少女だろう。
3人とも学校の制服らしきものを着ている。
そのとき恵那と洵が、同時に声を上げた。

「嘘っ、どうして天川くんたちがここに!?」
「え!? じゃあこっちはましろちゃんと
 ルイーズちゃん!?」

「え、2人とも知ってるのか?」
「もちろん! 3人とも、
 私が副担任を務めるクラスの生徒よ」

「あたしはあの子たちとは、
 先週たまたま知り合って……」
「何だって!?」

驚く渡瀬の背後で、宇喜多までが言う。
「実を言うと、僕もこの3人の子供たち
 とは面識があるんだ」
「どういう関係なんだ?」

「まず僕とこの少年は、家が隣同士なのさ。
 それに少年の母親もこの施設に勤めていてね。それでさ」
「じゃあ彼らは、その母親に会いに来たのか?」
「さぁ……それは僕にもわからないが……」

「ともかく他にも、同様の映像がいくつかあるんだ。
  そして最後の映像は――」
「7時12分、第5エリアの映像だよ」
その言葉を聞いて、渡瀬は宇喜多が何を
言わんとしているのかわかった。

「待てよ……7時12分の映像という事は、
  隔壁が降りたのは7時頃のはずだから……」
「ああ。ここにいる6名以外に、少なくともあと3名、
  このラボに閉じ込められているということだ」
「なに……!」
渡瀬は3人の映像に眼をやった。
(彼らはここで何をしているんだ?)

本当に母親に会いに来たのか、
それとも別の目的があるのか――
「先生……この高校生たちの名前は?」
「男の子が、『天川夏彦』くん」
「あとの女の子2人は、『鳥羽ましろ』さんと
  『三ノ宮・ルイーズ・優衣』さんよ」

「……」
どこかその名に、聞き覚えがある気がした。
ずっと前から知っていたような、親密な気持ちを感じる。
(ひょっとして、オレは…… この子たちを
  助けるために、地下に降りてきたのか?)

※画像およびテキストは開発中のものです。