日頃より私どもの作品にご注目くださいまして、誠にありがとうございます。
また、今回の震災で被害に遭われた皆様へ、心よりお見舞い申し上げます。

さてこの度、『ルートダブル』の正式再開を決定いたしました。

今回の震災を受けまして、『ルートダブル』は、3月14日より情報自粛として公式サイトの公開停止、
ならびに、作品内容と発売予定の検討を続けておりました。
その節は大変なご迷惑とご心配をおかけして申し訳ございません。
以来、ユーザーの皆様からも、ご意見・お問い合わせを多数頂きました。
頂いた貴重なご意見を考慮しつつ、状況の推移を見守りながら協議・検討を続けてきた結果、
「開発の継続」と「発売を視野に入れたプロモーション活動の再開」を決断した次第です。

そのご報告と合わせて、作品づくりの方針、今後の取り組みについてお知らせいたします。

 
作品内容と方針について
 

『ルートダブル』の舞台は、原子炉を内部に抱えた架空の巨大研究施設『ラボ』。
本編の骨子は、この地下に閉じ込められた男女9名の脱出劇を描いたサスペンスドラマです。
物語の冒頭において『ラボ』の原子炉はメルトダウンをおこし、施設内は放射能に汚染されてしまいます。
かくして9名は架空の抗被曝剤を駆使しながら、全員無事生還をかけて奮闘するストーリーが描かれていきます。

再開するにあたっては、
この作品設定を見直すべきかどうかが最大の焦点となっていましたが、以下の理由により、
「設定の変更はせずに、可能な限り当初の企画内容に沿って制作を続ける」ことにいたしました。

●作品内容を慎重に精査いたしましたが、
  震災被害や被災者の皆様を貶めるものでも嘲弄するものでもないと判断しました。
  また、本企画の製作発表は震災前の2010年12月に行われたものであり、
  被害に遭われた皆様を傷つける意図は微塵も含まれておりません。

●本作品の「根底」にあるのは、「絶体絶命の、極限状況下での希望」を描くものであります。
  それは、絶望の中に見出す『人間』という希望です。
  『ルートダブル』で描くのは、退路を断たれ、極限状態に追い込まれた9名が、
  さまざまな障害や対立、絶望的な事態を乗り越えた上で、
  互いの理解を深めながら、全員無事生還を目指す話です。
  まさに絶体絶命という状況に、何度も何度も追い込まれ、けれども決して諦めず、
  最後の最後まで、自分が生きることと他人を救い出すことをやめない、
  そんな人間の力強さと尊さを描く話です。
  我々はこの『人間の尊さ』を、
  ゲームというエンターテインメントを通して描きたくて、制作を続けてきました。
  エンターテインメント(娯楽)の本質は、人を「癒やす」ことにあると考えています。
  そんな娯楽作品の形態で、『人間の尊さ』を描きたい、皆を癒やしたい、勇気づけたい。
  今は日本の難局というべき時期ではありますが、
  だからこそ、こういった作品を世に送り出したいのだと思っています。

●自粛して別物に作り替える方法も、ひとつの正しい選択だとは思いますが、
  我々は、あえて逆に、「このテーマに向き合う」ことを選び取りました。
  なぜ今回のような設定を選んだのかというと、『ルートダブル』のテーマを描く上では、
  「人が扱うには、あまりにもリスクの大きな『ちから』」が重要なキーワードになってくるからです。
  具体的には、実際にプレイして頂く以外に説明の方法がございませんが、
  これを真摯な姿勢で描いた上で、この作品を通じてのチャリティ活動などで社会に貢献していくことも、
  また意義のある選択ではないかと考えました。
  チャリティについて具体的な方策は検討中でして、決まり次第、当サイトにて順次ご報告差し上げます。


発売予定時期について
 

上記のように、当初の設定のまま制作を続行してまいりますが、発売予定時期としては『未定』とさせて頂きます。

今後の状況を慎重に精査した上で、発売日を定めたいと思います。

ご心配ご不便をおかけしてしまいますが、何卒ご理解ご容赦頂ければ幸いでございます。


対応ハードについて
 

長らく『未定』のままとなっておりましたが、
現時点の様々な状況を鑑みた上で、対応ハードを『Xbox360』と確定いたしました。


今後のプロモーションについて
 

発売時期は未定ですが、プロモーションについては徐々に再開していく予定です。

その第1弾として、8月5日に公式サイトを再開いたしました。

8月12日〜8月14日に東京ビックサイトで開催される『コミックマーケット80』に、
『イエティ/レジスタ』ブースとして参加いたします。
(現在急ピッチで準備中です)
そこでは、正式再開のお知らせを行うと同時に、
チャリティグッズの販売も含め、
皆様と復興への想いを共有できるようなプランを実施します。


最後に
 

震災以来、長い時間をかけて協議を続けてきましたが、
自粛して存在自体を抹消するのではなく、

我々が信じて作ってきた作品を、

あるべき形のままで、

心待ちにしてくれている皆様にお届けする、

──これが最良の選択だと考えました。
その上で、この作品を社会貢献に繋げていく道を模索していくべきだと思います。

先ほども述べましたが、こんな時期を迎えたからこそ発売したい、と感じております。

これは、『ルートダブル』に参加しているスタッフ一同、同じ思いです。

そして外部のスタッフの皆様も、我々と同じ信念をもって制作に取り組んでくださっています。
大変難しい局面であるにも関わらず、快く参加を継続してくださり、本当に頭の下がる思いです。

また、情報自粛以来、本当に多くのユーザーの皆様から、温かい応援のメッセージを頂きました。
果たして何が最善の道なのか判断できず、途方に暮れていた時、
今回の決断の最後の一押しになったのは、
紛れもなく皆様からの「この作品の発売を希求する声」に他なりません。

まだまだ予断を許さない状況が続いており、
正直、この先どうなるのか、思惑通りのまま進められるのか、
神ならぬ身ではわかりません。
ですが、皆様の頑張りや応援に報いるためにも、力の及ぶ限り、無事発売できるように製作を続けてまいります。
今後とも、ご支援よろしくお願いいたします。

被災地の完全な復興と復旧には、長い長い年月を要することになると思いますが、
それが少しでも早く実現することを願って。
『ルートダブル』が少しでもお役に立てることを祈って。
この願いと祈りをもって、今回のお知らせを締めくくらせて頂きます。

 

2011年7月29日
有限会社レジスタ  プロデューサー  中澤 工