決して脱出できない死の空間からの活路となるのは、
意外にも救われる側である少年・夏彦であった。
事故が起きる6日前……彼の記憶の中に、
命運を左右する鍵が隠されていた。
こうして、渡瀬の視点から描かれる
「9時間の脱出劇」(=Aルート)
とは別に、夏彦の視点による
「事故に至る6日間の軌跡」(=Bルート)
も別ルートで描かれることになる。
様々な立場や思惑が同居し、
絡み合い、対立するのが『ルートダブル』
の特徴だが、そんな本作における最大の
テーマは「感情移入」だという。
ADVに限らず、人は作品に熱中するとき、
その作品内の人物などに気持ちを重ね合わせていく。
一般的な意味においては、どんな作品にも発生し得る
感情移入だが、それをあえてテーマとした真意は何であろうか?
いわく、ゲームの世界を「また一歩」こちら側に
近づける試みをシステムとストーリーの
両面から図る、ということらしいが……。
果たして『ルートダブル』は、
どのような作品なのだろうか?
是非プレイして確かめていただきたい。 |