ルートダブル - Before Crime * After Days -

この謎めいたタイトルの意味は何だろう? ──と考えているなら、
すでにあなたはルートダブルの物語に足を踏み入れている。

そのタイトルロゴは、「√」という平方根を表す数学記号を境に配置された
「ROOT」と「DOUBLE」の文字。

それぞれの下には「ROUTE」と「W」の文字も見える。
どちらも「ルート」「ダブル」という読みだが、なぜ同じ読みの言葉を重ねたのか?

ダブルのルートと言えば、この作品は2人の主人公を用意している。
テキストタイプのアドベンチャーゲームにおいては、攻略シナリオのことを「ルート」と呼ぶ。
ただ単に、2人いる主人公の各々のシナリオのことを指しているのか?

 

「ラボで発生した“事故”と、その所内に閉じ込められた9名の男女」というストーリー設定に対して
今回の主人公は、救う側(レスキュー隊員:渡瀬)、救われる側(閉じ込められた高校生:夏彦)、
と明確に対比する(表と裏の)立場が与えられている。

この「同じ事象を異なる立場から描いていく物語構造」と、何か関係がありそうだ。
サブタイトルには、『Before Crime * After Days』と、これまた意味深な題がつけられている。
素直に訳すなら、「犯罪以前、その後」ということになる。
ストーリーと絡めて意訳すれば、「事故の前、後」だろうか? 

これで渡瀬と夏彦の各シナリオの状態と符合する。
Crime(罪、犯罪)を事故と訳すのは無理があるが、事故の背後に犯罪が絡むことを
仄めかしている可能性もある。

さらに穿った見方をすれば、頭文字が「BC * AD」となっていることにも意味があるかもしれない。
「紀元前、紀元後」──これも対比の関係だ。

改めて着目すれば、物語のあちこちに、意図的に対比させたかのように
6と9のキーワードが見え隠れする。


 

・事故発生時刻──2030年9月16日午前6時19分30秒。

・ラボに閉じ込められた9名の男女。/抗被曝剤を使って生き残れるのは6人まで。

・ラボのセキュリティシステム復旧まで残り9時間(Aルート開始時点)。
/事故発生の6日前から描かれるBルートの物語。
……etc.

タイトルを考察しただけでも、これだけのキーワードが読み取れる。
果たして物語に、どのように絡んでくるのだろう?

原案の“中澤工”氏は、「このゲームの全貌を、ぎゅっと圧縮したのがこのタイトルだ。
シナリオのテーマから構成、シチュエーション、ガジェット、システムに至るまで、
様々な情報がこのたった1つのタイトルロゴに表れている。難しくてよくわからない? 
なぜなら、このタイトルも謎かけの1つだからだ」と述べている。

──救うか?

──救われるか?

あなたは、このスリリングで謎に満ちたドラマを、どちらの視点で読み解くか?




 

©イエティ/Regista